小関ゼミ 非営利マネジメント/マーケティングの世界へようこそ
 

2008年 ゼミ合宿

★合宿計画

☆報告 第1日

★報告 第2日

今回は福岡にあるNPOや企業を訪問し、お話をうかがってきました。
多くの方に大変お世話になりました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
合宿の訪問先は、学生が自分たちで行きたい団体の候補を挙げて、その中から3カ所にしぼりました。
ただ何となく行ってみたいなあ、というのではなく、こういう理由でこの団体を訪問したい、こういう点をぜひ聞きたいというように、行きたい理由を明確にすることが必要です。理由がはっきりしないと、せっかく訪問しても大した収穫が得られないからです。
しかし、行きたい理由をはっきりさせて、他のメンバーにもきちんと説得するのは、そんなに簡単なことではないようですね。
学生の皆さんは訪問先を探す時、たいていウェブサイトを検索してその内容から判断しているようです。ウェブサイトの内容がどの程度魅力的か、具体的に事業をイメージできるかで、その団体が評価されるわけです。ウェブサイトの果たす役割は、これからますます大きくなっていくかもしれません。

今年の学生の関心は大きく2つに分かれています。1つは企業社会責任(CSR)であり、もう1つはNPOの経営(特に高齢者住宅)です。
そこで、企業社会責任とNPO経営の各々から、訪問先を選ぶことにしました。
企業社会責任の観点からは、明太子を製造・販売している「ふくや」と、公益企業である九州電力を訪問しました。
また、NPO経営の観点からは、福岡市郊外で有料老人ホーム「ささぐりの里」を経営しているNPO法人「シニアライフサポートセンター」を訪問しました。

(教員ではなく)学生自身が直接、NPOや企業と連絡を取り、訪問の了解を得て日程調整し、質問項目を事前に送るなど、訪問の準備を行いました。NPOや企業に訪問して話を聞く経験に乏しい学生にとって、戸惑ったり、緊張したり、思わぬミスをして訪問先に迷惑をかけることもありましたが、全体的によく頑張ったと思います。今回の合宿での経験を、ぜひ今後に生かしてもらいたいものです。
合宿係の学生は、ツアーの手配をして、面倒な手続きを引き受けてくれました。ありがとう。

福岡では、名物の明太子、水たき、モツ鍋、とんこつラーメンを堪能してきました。これらの福岡名物は、実は東京でも食べられないわけではありませんが、やはり現地に来て食べると、一味違う感じがします。屋台で食べた料理もおいしかったですね。
にぎやかで楽しい3日間となりました。皆さんお疲れさま。 以下の文章は、学生による簡単な報告と感想文です。 (小関)


★合宿計画


日時:9月9日(火)〜11日(木) 2泊3日
行き先:福岡県福岡市、篠栗町
参加者:教員(小関先生)、3年生10名(計11名)

●訪問先

1日目 NPO法人 シニアライフサポートセンター
2日目 株式会社 ふくや
     九州電力株式会社



▲TOPへ


☆報告 第1日


1日の流れ


7:30 羽田空港駅改札にて集合
13:30 NPO法人 シニアライフサポートセンターを訪問
    福岡市内のホテルにて宿泊

NPO法人 シニアライフサポートセンター訪問


合宿一日目に私たちは介護付き有料老人ホームささぐりの里を訪問しました。
ささぐりの里は、居室と食事、介護の提供をする老人ホームです。
ささぐりの里では歩行機を用いてリハビリをし、基本的に入居者には車椅子を使わずに自分の力で歩いてもらうことを方針としています。その成果も着実に現れています。
しかし一方で、入居者の方の健康が増進されることにより、保険負担金での収入が減り、経営が非常に厳しいそうです。日本の介護制度を変えるべきだともおっしゃられていました。
介護の世界について素人同然の私たちに、わかりやすく丁寧に様々な介護の現状をお話していただき、大変勉強になりました。介護の厳しさを知り、今後私たちも介護の制度や現状についてより深く考え、行動していくことの大切さを強く感じました。

   

<感想>
・普段私たちは、ネットや本などで情報を集め、自分たちの解釈で学んだと思ってしまうことがよくあります。しかし、今回の訪問を通して、私たちが知らない専門的なことや本音を聞くことができました。事業に携わっている方の話を、直接お会いして聞くことの大切さを改めて実感しました。また、スタッフの方や入居者の方と話す機会を持たせていただき、1人1人が充実した毎日を送っていることが伝わってきました。
・本やインターネットなどでは知ることのできない現場の生の声を聞かせていただいて、本当に勉強になりました。
・非常に詳しい深い話を聞く事が出来てとても良かった。いつもは紙面でしか得る事ができない事を実際に現場を知っている方に聞けたので、すごく意味のある訪問になった。
・職員の方の、入居者の方によくなって欲しい、という思いが伝わってきました。
・初めて福祉関係のNPOに行ったことでさまざまなことに気づいた。運営の現状、課題などは私たちにとって身近に感じるものだった。改めて、現場に行くことの重要性を感じた。
・有料老人ホーム『ささぐりの里』では、経営面における国からの助成や、そこで介護を行うヘルパーの人達に払われる賃金の低さが特に大きな問題となっていた。これは国による法整備の不備が大きな原因であった。そのためには、国に対して圧力となる組合や運動を現場や自分達の手で起こす必要がある。
・政治家が決めた制度によって、こんなにも老人のために働いている人達が苦労しているという現実にショックを受けました。
・率直に思ったのは、認定レベルが改善されるというこの形が1番いいと感じました。資金面での問題があるので、補助の仕組みをつくり、より多くの施設がこの取り組みをしていく方がいいのではと思いました。

▲TOPへ


★報告 第2日


1日の流れ

10:00 株式会社 ふくやを訪問(工場見学)
14:00 九州電力株式会社(本社)を訪問
19:00 福岡・中洲の水たき料理屋にて夕食

株式会社 ふくや訪問


ふくやフーズファクトリー見学


合宿の2日目の午前中、私達は老舗の明太子創業メーカーであるふくやの工場を見学しに行きました。
ふくやは明太子創業メーカーの老舗の中の老舗、なんと明太子の創始者である川原俊夫さんが作った企業です。川原さんは韓国で食したタラコのキムチの味が忘れられず、それを日本人向けに作ったのが明太子なんだそうです。
当日の流れとしては、到着してからまずふくやのビデオを観ました。上記の話はそのビデオを観て知ったことです。その後、工場見学を始めました。流れ作業によって次々と明太子が作られていました。ここで私が一番感動したのは、機械がダンボールをたたんでいる所から組み立て、中に製品を積め運んでいたところです。
あれはやばいです。工場見学のあと最後に、質問の時間を設けていただきました。
質問が始まる前に試食があったことは言わずもがな…
質問にはとても親切丁寧に答えていただけました。とても優しい方達だったので、自分もふくやに就職したくなってきたことは言わずもがな…
ありがとうございました。

   

<感想>
・工場見学はとても興味があったので、貴重な体験をさせていただきました。現在、食の安全が叫ばれ、同時に様々な食材の値上がりが懸念されています。このような世の中で、創業当時から根強い人気を持ち続けているのは、創業者である川原さんの意志を社員の方が受け継いでいるからなのだと思いました。食は自分と切り離せないものなので、真剣に考える良い機会になりました。
・明太子の生産過程を間近で見学することができてとてもうれしかった。ベルトコンベアー好きにはたまらない体験です。
・いつもと違い工場見学という形がメインとなったが、明太子のふくやという大勢が知っている会社の工場を見学でき、面白く貴重な経験ができた。自分の好きな明太子が、思っている以上に貴重な資源から色々な過程を経てできているものなんだという事を実感した。
・工場見学にて、機械化が進んでいる所が興味深かったです。
・工場見学と質問を行うことができた。近年、食の安全が叫ばれる中でふくやさんの品質管理の姿勢に驚いた。CSRがブームになっているからするのではなく、それ以前からステークホルダーのことを考えていることに感銘を受けた。
・明太子工場『ふくや』は、安心・安全の徹底管理を行っているからこそ、あそこまでオープンな形で工場見学を行えるのだと感じました。何より明太子が大変美味しかった。
・ふくやという会社がいかにお客様のことを第一に考えているのかというのが強く伝わってきました。
・より多くのお客様に、安全でおいしい商品を提供していることが伝わってきました。そして、地域密着という形で、より企業としての向上を目指していると思います。明太子はとてもおいしかったです。

九州電力株式会社訪問


ずっと先まで、明るくしたい
「快適で、そして環境にやさしい」そんな毎日を子供達の未来につなげていきたい
そんな思いを持ち、九州電力は環境や地域も含め、また、グループ行動懸賞を制定するなど多くの分野で積極的にCSRに取り組んでいます。
さらに、CSR報告書の発行によりわかりやすく活動を伝え、改善点は翌年の活動計画に盛り込み、よりよい活動を行っています。
そうすることで、企業としても成長・発展することができる。
今後CSRの取り組みについても、企業を評価する際の重要な要素になると感じました。

 

<感想>
・会社一体となって、さまざまな社会的活動に従事していました。設備形成のためには、地域との密着が不可欠であるとのことで、電力を供給してもらう側として、深く共感しました。
・一般的な企業と違った電力会社としてのCSRに対する意識を理解することができ、とても参考になりました。
・自分達の生活になくてはならない電気を供給する側の会社の方にお話を伺う事ができ、また利益をどんどん稼ぐというイメージの企業とは少し違い、その地域の人々と密接に結びつき、結びつかなければならない性質からくる対応や方針を伺えた事で、普段は得る事のできない知識と経験を得る事ができた。
・「事業自体に公共性がある=社会の成長が会社の成長に繋がる」というのは、他の一般企業にとってはどうだろうか、と考えさせられました。
・電気というインフラを整備している会社ということもあり、非常に高い意識でCSRに取り組まれていると思いました。CSRレポートを拝見させていただき、ステークホルダーの中でも地域密着を心がけている姿勢が感じられた。
・『九州電力』は、ライフラインである電力を商品として消費者に提供しているため、自分の中で、そこまで苦労せずに企業として成り立っているのではないかと考えていた。しかし、この企業は部門ごとにCSRに取り組み、その活動報告を冊子にまとめるなど普及にも力を入れていた。また、第3者による外部評価など、電気を商品として扱う企業としての使命を全うできるような社内体制にむけても現在取り組みんでいた。
・九州電力はCSR活動をきっちりと幅広く行っていると感じました。他社の見本になると思います。
・説明の中で、自社のマイナス面も含めて具体的な数字も示して、わかりやすく説明していただきました。CSRについて様々な分野に熱心に取り組んでいるので、これからも企業価値が向上していくと思います。他の企業でも積極的にCSRに取り組む必要があると思います。


▲TOPへ


2日目の夕食は、福岡・中洲の水たき料理屋にて。
おいしかったです。



 




【連絡先】  小関隆志(こせき・たかし)研究室

〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1
 明治大学 経営学部
TEL/FAX 03-3296-2085(研究室直通)
e-mail koseki@meiji.ac.jp